アーティスト・コンストラクテッド

マジックの世界では、今や非常に多くのフォーマットがあります。しかし私がマジックを始めたころは、数えるほどのフォーマットしかありませんでした。最終的に、タイプ2がスタンダード、タイプ1がヴィンテージ、その間のタイプ1.5がレガシーになりました。そして、エルダー・ドラゴン・ハイランダーがリブランディングされた統率者、モダン、アーチエネミー、プレインチェイス戦、ブロールなどなど…現在では、フォーマットに多くの選択肢があります。私はここに全フォーマットを列挙しようとは思はないので、ウィキペディアで検索してみました。すると、40以上のフォーマットが存在することが分かりました。

しかし、このリストには私のお気に入りのフォーマットが入っていないことに気が付きました。それは、アーティスト・コンストラクテッドです! アーティスト・コンストラクテッドというフォーマットは、自分の好きなアーティストが描いたイラストのカードのみ使うフォーマットです。デッキ構築用の60枚、サイドボードの15枚、そして土地も含めて、全て同じアーティストによって描かれたものでなければなりません。アーティスト・コンストラクテッドの構築ルールは、基本的にヴィンテージと一緒です。とはいえ、普段非常に高額なデッキとして有名なヴィンテージとは異なり、古くて高いカードばかり使うわけでもないので、デッキが安く組めて楽しいフォーマットだと思います。

私は、アーティスト・コンストラクテッドのことを3年前に知りました。1人のアーティストに絞ってデッキを組むことについて書かれているのを、ツイッター上で見たのです。そのアイディアが気に入ったので、私は早速お気に入りのアーティストの1人であるRebecca Guay 氏のカードでデッキを作ってみることにしました。Guay氏は多くのカードのイラストを描いているし、「苦花」のような強いカードもあります。しかし当時、彼女の描いた基本土地は、アジア太平洋選手権のために作られたプロモカードの平地と山の2枚しかありませんでした。そして、それらのカードは1枚10~20ドルもする上、市場にあまり出回っていなかったので、60枚のデッキを組むことは不可能に近かったのです。

なので、私は別のお気に入りのアーティスト、 Wayne Reynolds氏で作ってみることにしました。Reynolds氏は、「戦慄掘り」や「終止」などの素晴らしい除去のカードを含め、多くのカードイラストを手掛けています。彼はローウィンで沼と山を、くっつけると1つの大きな絵となる二連画として描きました。そして彼が手掛けた土地には、「婆のあばら家」という黒マナと赤マナ両方を出すものもあります。

ローウィンの沼と山のアート(Wayne Reynolds氏

ローウィンの沼と山のアート(Wayne Reynolds氏

それを念頭に置きながら、私はデッキ構築を始めました。このフォーマットではアーティファクトが非常に強いため、新しいデッキを組み始めるときには、まずアーティファクト除去は何があるかを調べるところから始まります。Reynolds氏のカードを見てみると、強いアーティファクト除去は全て白と緑なのに、彼は平地も森もイラストを描いていません。一応、アラーラの断片で登場したナヤカラーの「ジャングルの祭殿」はありますが、それだけだとあまり頼りにならないのであきらめることにしました。その代わりに、Christopher Moeller氏の「梅澤の十手」のようなアーティファクト戦略をとるデッキに対して、早めに決着を付ける戦略を考えました。早く決着を付けるには、アグレッシブなゴブリンなどが適しているでしょう。「婆のあばら家」はゴブリン・カードと相性が良く、私はカード同士が一緒に機能するデッキでプレイするというアイディアが好きなので、Wayne氏のゴブリン・カードを全て見てみることにしました。すると、素晴らしいものばかりでした。「ゴブリンの付け火屋」、「武器商人」、「湿地の飛び回り」、「ゴブリンの戦術家、半心臓のイッブ」、「狂い婆」、「顔投げ」、「巣穴のこそ泥」など、全てゴブリンが相互に作用しあってプレイされるものです。(黒赤Wayne Reynoldsデッキ)

友人の白黒緑Moellerデッキに対して、このデッキで戦ってとても楽しかったです。そして2016年、私は幸運にも仕事でミネソタに居ました。ちょうどその時、アーティスト・コンストラクテッドのフォーマットを作った先駆者の1人でもあるMike “VorthosMike” Linnemann氏が、年に一度のチャリティイベントを開催していました。その年は“Pupp-a-thon”(子犬マラソン)と銘打たれ、アーティスト・コンストラクテッドのサイドイベントも行われていました。そこでは、私が考えもしたことが無いようなデッキがたくさんありました。私はVorthosMikeの黒赤Reynoldsアグロデッキと対戦しました。青黒Warren Mahyや、黒単Mark Tedin、青無色Jason Felix、白黒Steven Belledinなどを見たのを覚えています。私と同じようなアーティスト・コンストラクテッドのフォーマットに熱心な人々と出会い、彼らのお気に入りのアーティストのデッキと戦い、デッキ同士がどう戦うかを見ることは、それまでマジックをプレイしてきた中で一番楽しいことでした。

Pupp-a-thonのプレイマット(絵: Titus Lunter 氏と Suzanne Helmigh 氏)

Pupp-a-thonのプレイマット(絵:Titus Lunter氏とSuzanne Helmigh氏)

2017年6月、ラスベガスで開催される初のマジック・アートショーの時まで、私はアーティスト・コンストラクテッドを再びプレイするチャンスがありませんでした。Mikeと私は、アートショーが開催される部屋のすぐ外の廊下で、アーティスト・コンストラクティッドのイベントを開催するために尽力しました。そのころまでに、私はいくつかのデッキを構築していました。統率者2016で、Rebecca Guay氏のイラストで5つ全ての基本土地が出たことにより、赤白Rebecca Guayを構築でき、他にも赤単Greg Staplesアグロ、そして白単Clint Cearley「悪夢の声、ブリセラ」をメインにしたデッキなどです。私は黒赤 Wayne Reynolds“我らゴブリン”を使うことに決め、タイブレーカーを経て優勝を勝ち取りました。私は白青Christopher Moeller、緑単Darrell Riche、そして他のプレイヤーがイベントに参加できるように貸した私自身の赤単Greg Staplesデッキと対戦して、勝ち抜きました。

デッキリストこちらへ:
白単Clint Cearley
白赤Rebecca Guay
赤単Greg Staples

その夏、私はGencon2017でアーティスト・コンストラクテッドのイベントを開催することを決めました。友人と私で5つのデッキを持ち寄り、イベントがスムーズに進むようにしたのです。幸いなことに、8人が参加してくれたので、フライト式で遊べました。@alteredcity(ツイッター名)が、彼のChippyの「等時の王笏」「オアリムの詠唱」デッキで勝利を勝ち取りました(先ほど触れたアーティファクトの戦略を思い出してください)。賞品として、彼はWilliam O’Connor氏による「安寧砦の歩哨」のオリジナルスケッチを手に入れました。

5.jpg

それ以降も、私は機会があるごとにアーティスト・コンストラクテッドをプレイしてきました。幸運なことにイベントではいつも、少なくとも1人はアーティスト・コンストラクティッドをプレイする人がいるのです。Illuxconでは、Ryan Pancoast氏が彼自身のイラストのカードで作ったデッキで、Donald Caltrider氏の緑白Ryan Pancoastデッキと対戦しているところを見ることができました。こちらでそのデッキについて読むことができ、Ryanとの対戦についてはこちらで読むことができます(両記事とも英語です)。

6.jpg

アーティスト・コンストラクテッドの素晴らしさを伝えるのは、簡単なことではありません。「お気に入りのアーティストやカードを選んでデッキを構築するんでしょ?」―― そうですね。「選んだアーティストに、デッキを組むための基本土地が無いとイライラしますか?」―― それは当然経験してきました。「必要なカードがそろっていて、デッキ構築が可能なアーティストを発見した時の気持ちは?」―― 最高ですね。私はこれら全てのアーティスト・コンストラクテッドの側面が大好きですが、一番好きなところは、そのコミュニティです。私はマジック:ザ・ギャザリングのゲーム自体も好きですが、アーティストやマジックアートの文化に夢中になっている人々と会うことがとても楽しいです。

だからこそ、東京MTGがそのコミュニティをさらに大きく育てていることが、私にとってはとてもワクワクすることなのです。東京MTGは、これからもアートを推していきます。ここ以外にアーティスト・コンストラクテッドにふさわしい場所などあるでしょうか? 東京MTGでは、アーティスト・コンストラクテッドを試してみたい方のために、デッキが用意されています。もし、希望者が多ければトーナメントをすることも可能でしょう。ぜひお店に行って試してみてください。これを機会に、皆さんがご自分のアーティスト・コンストラクテッドデッキを構築し始めてくれたら、と思っています。

この記事の中で、私は「リストにお気に入りのフォーマットが入っていない」と書きましたが、今は修正されました。

アーティスト・コンストラクテッドに関するおすすめのサイト(英語です)

Mike Linnemann State of the Format
Mike Linneman Guilds of Ravnica Vintage Artist Constructed
Donny Caltrider Vintage Artist Construced Mono-Blue Randy Gallegos
Donny Caltrider Vintage Artist Constructed Matt Cavotta Mono-Red
Vintage Artist Constructed Facebook Group